簡単日経225 レバレッジ解説ガイド
「個人の家計でいちばん重視すべき会計指標」とはなんだろうか?実に気になるところだ。
実際、私もよく質問される。
そういうとき私は、「年収」でも「利益」でも「現金残高」でもなく、「フリー・キャッシュ・フロー」と答えている。
フリー・キャッシュ・フローとは、自由に使えるお金の額のことであり、これを非常に重視している会社も最近増えてきている。
会計におけるフリー・キャッシュ・フローは、次の計算式でわかる営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フローつまり、営業と投資による現金収入を計算することで、会社の中長期的な力を見ることができるというわけだ。
現在とても注目されている指標である。
それを個人版のフリー・キャッシュ・フローにすると、次のようになる。
日常の現金の出入り+将来のための現金の出入り具体例を示すと、次のページのようなかたちになる。
サラリーマンAさんの毎月の家計から、フリー・キャッシュ・フローを算出した。
フリー・キャッシュ・フローというのは、収入から生活費や保険といった最低限不可欠な出費を引いた残りである。
つまり、この残りが、「自由になるお金はいくらあるのか?」ということを示すのである。
このAさんの場合は、毎月のフリー・キャッシュ・フローの3万円を、まるごとぜいたく費に充てていることがわかる。
自由になるお金がいくらあるのか、というこの指標は、生活のゆとり、豊かさの程度を如実に表してくれる。
それは、単純に年収の高低で計れるものではない。
年収が低くても、フリー・キャッシュ・フローが大きなプラスであれば、実は金銭的には幸せな生活をしていることになる。
逆に、いくら年収が高くても、日常的な出費がかさんでフリー・キャッシュ・フローがマイナスなのであれば、いずれどこかでひずみが出てくるはずだ。
だから、このフリー・キャッシュ・フローを常にプラスにしておくことが、人生を送るうえで大切になってくる。
あなたの家計を大ざっぱに計算してみようみなさんも、自分の家計でいくらフリー・キャッシュ・フローがあるのか一度計算してみてはいかがだろうか?1円単位の計算ではなくて、大ざっぱな感じでいい。
万円単位の計算で十分である。
ここで確認しておくが、会計を使って分析をする際には1円単位の計算は無意味である。
なぜなら、万円単位の大局をつかむことこそが重要だからだ。
ちなみに、「会計士って細かい人たちなんだろうなぁ。
きっと1円単位にも目くじらを立てるんだ」とお思いの方もいるかもしれないが、それは世間の想像に過ぎない。
実際、会計監査をする会計士は、1円単位などほとんど気にしていない。
大企業の監査担当になると、100万円以下の単位は無視したりすることもある。
というのも、大局的な観点から企業の不正の有無を見ようとしているときに、細かいところまで見てしまうと、全体を見失う危険性があるからだ。
また、1円単位の細かいところまで見ている時間的余裕がない、という事情もある(さらに、企業が公表する決算書は通常「100万円単位」であるという裏事情もある)。
大ざっぱに計算してよいのだから、「生活費とぜいたく費の境目がわからない」というのも気にしなくていい。
大ざっぱに「月々の生活費は15万円で、ぜいたく費は3万円かな」と考えればいい。
それでは、実際に次のページのシートに記入してみてください。
さて、あなたの毎月のフリー・キャッシュ・フロ1はいくらだっただろうか?プラスであれば、このままそのプラスを増やすことを目指すのがいい。
マイナスであれば、なんとかプラスに転じさせる努力が必要である。
「フリー・キャッシュ・フローは計算上プラスなのに、毎月お金が残らないぞ」という方は、どこかで無駄なお金を使っているということである。
ぜいたく費などで散財していないか見直す必要がある。
逆に、「フリー・キャッシュ・フローは計算上マイナスなのに、毎月そんなに苦しくないよ」という方は、どこかで借金をしているか、貯蓄を取り崩しているか、だれかからの援助に頼っている可能性がある。
そういうことは長くはつづかないので、早くプラスになるように家計を見直す必要があるだろう。
このように、大ざっぱでかまわないので家計のポイントをつかむことこそが、忙しいビジネスパーソンに求められている「会計のセンス」なのである。
会計に苦手意識を持っている人は、その理由として、よく「そもそも自分は数字に弱くて」などという。
たしかに、会計に数字は不可欠である。
利益も回転率もキャッシュ・フローも決算書も、なにもかもが数字だらけだ。
数字嫌いの人にとって、これほどの苦痛はない。
しかし、ここで誤解してほしくないのは、会計を学ぶうえで、数字に強い必要はまったくないということだ。
むしろ必要なのは、「数字のセンス」である。
このセンスさえ持ち合わせていれば、意味不明の数字の羅列に過ぎなかった会計の数字もまったく怖くなくなるのである。
最後となったこの章では、数字のセンスとはなにかを紐解きながら、「数字に弱くても会計は使える」という話をしていきたい。
数字嫌いの人も、本章を読んで「数字の壁」を乗り越えていただきたいと思う。
上のキャンペーン広告※を見て、あなたならどう感じるだろうか?「へぇ、タダになるなんてすごいなぁ」「50人にひとりじゃなかなか当たらないな」「私だったら、50人にひとりでもけっこう当たる自信があるけど」など、感想は人それぞれだろう。
しかし、数字に対するセンスがある人は、そういう感想はけっして持たない。
この時点で、数字のセンスがある人以外は、「無料に当たるかどうか」という観点でしか物事を考えられない。
どうしても、「無料」という言葉にとらわれ過ぎてしまデフ0もちろん、「広告で無料をうたっているんだから、無料という言葉にとらわれても仕方ないじゃないか」という意見はごもっともである。
しかし、この場合、広告主のほうは、無料ということについてたいして気にしていないのである。
「無料という出血覚悟のサービスをするのだから、広告主が気にしていないわけがないじゃないか」と思われるかもしれない。
しかし、この「広告主」というのがポイントなのである。
勘が鋭い方はもう気づかれただろう。
「広告主の立場」になって考えれば、「無料」ということにたいした意味がないということに。
それでは、正解をいおう。
「50人にひとり無料」とは、「100人だとふたり無料」である。
ということは、パら見ると、「2%の割引」である。
そう、この「50人にひとり無料」は「2%割引」とほとんど同じことをいっているのである。
いまどき「2%割引」とうたっても、「消費税分還元」「1~3割引!」があたりまえのこの世の中、たいしたアピールにはならないし、消費者のほうもそれくらいではとうてい喜ばない。
それが、「50人にひとり無料」といいかえるだけで、とたんにその広告が輝きを増してくるのである。
これは、おそらく「無料」という言葉が持つ絶大な力のせいであろう。
私たちの頭には、「無料1お得」という思考回路がすでにできあがってしまっているのだ。
しかし、冷静になって計算してみると、たいして得ではないことを別の表現でいっているに過ぎないことがわかる。
この「別の表現でいっている」ことにすぐに気づくかどうかが、数字のセンスを持っているかどうかの境目となる。
つまり、広告を見たときにすぐ、「50人にひとりってことは100人にふたりでれるかどうか」ということだ。
瞬時に気づくことができた人は、数字のセンスを持っている人だろう。
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